1 都市伝説

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 ……?!  ビクッとして硬直する城木。そしてゆっくりと辺りを見まわす。  誰もいない……。  頬に水滴が落ちた。  雨……。まさか、雨ふり少女?  あめ あめ ふれ ふれ……。  歌声がまた聴こえる。噂での恐ろしい声ではなく、どこか悲しげだ。  視線を下にも向けてみる。すると、瓦礫に紛れ人形らしき物があった。  これは……?  近づき、拾い上げてみる。  アンティーク人形(ドール)のようだ。ドレスを着た金髪の少女。しかし、埃に(まみ)れ、ボロボロになっている。  城木は人形の汚れを払い、なるべく綺麗に見えるようドレスを整えてあげた。そして、駅ホーム跡へと歩く。  そこにはまだ屋根も残っていた。そしてホームには、古ぼけているがベンチもある。  荒廃した一帯だけど、ここからは景色がいいんだよな。  ホームに立って見上げると、夜空が大きく広がっていた。下には街の光、その向こうには海も見える。  「ずっと倉庫の中に閉じ込められていたんだろう? これからは、景色を楽しみなよ」  そう言って、人形をベンチに座らせた。姿勢を整え、一番良い方角へと顔を向けてやる。  ふと、人形が微笑んだような気がした。  いや、気のせいだよな……。  肩を竦めると、城木はその場を後にした。
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