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04-04
二時限目の始業のチャイムが鳴り響く。
保健室から戻ったメグルは教室を見まわしたが、やはりトモルの姿は見当たらなかった。
サヤカがまた机をよせて、教科書を見せてくれる。
相変わらずサヤカはやさしい。それだけに『あんまりトモくんと関わらない方がいいよ』というサヤカの言葉が、逆に気がかりになっていた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
そっとサヤカの耳に顔をよせたとき、メグルの後頭部に何かが当たった。見れば、ころころと床で消しゴムが転がっている。
「ひゅ〜ひゅ〜。おい見ろ、デキてんぞ、あいつら!」
バカでかい声に驚いてふり返ると、十二個の試練星を頭に浮かべた例の男子が、教室の一番後ろの席で飛び跳ねながら叫んでいた。
「気にしないで。タカシって、いつも誰かをバカにしていないといられないのよ」
サヤカにそでを引っぱられてメグルは前を向いたが、すでにクラス中が、タカシの言葉に反応して、やんややんやと盛り上がっていた。
「やるじゃん、転校生!」
「手が早いのね、メグルくんって!」
子どもじみた盛り上がりに呆れつつも、ノスタルジックな感慨にふけるメグル。
(ああ、なんか懐かしい……。こういう雰囲気……)
すると、桜子先生までが一緒になって、ふたりを茶化し始めた。
「あらぁ、メグルくんとサヤカちゃん、もう、つき合ってるのぉ? おませさんねぇ、ひゅうひゅう〜」
そんな中、ひとりの生徒が窓の外を指差して声を上げた。
「おい、あそこにいるの、メグルの親父じゃね?」
一気にクラスじゅうの視線が、窓の外に注がれる。メグルもあわてて窓の外の校庭に目を向けた。
そこには脚立のてっぺんに腰掛け、大きな刈込みバサミをふり回すモグラの姿があった。
「アンドリュー、まだ学校にいるよ!」
「メグルくんのお父さん、あそこで何してるの?」
クラスじゅうが、また一斉に騒ぎだす。
(本当だよ! 何してるんだよ、まったく! 潜入捜査だと言うのに、ぼくもモグラも目立ち過ぎだ! ああ、どうしてこうなってしまうんだろう……)
すっかりクラスの注目の的になったメグルは、また保健室に駆け込みたい気分になった。
*
「おいモグラ! いつまで校内をうろついてるんだ!」
授業が終わるや否や、メグルは校庭に飛び出してモグラに詰め寄った。
「お、メグル。どうだ、決まってんだろ?」
モグラは上下緑色の作業服に身を包んでいた。
「おいらさぁ、この学校に雇われちゃったんだ。臨時の校務員として」
ぱっかりと口を開けているメグルに 「まぁ、聞けって」と、モグラが長い言い訳を始めた。
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