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「今、傘を使うのは駄目なのか?」
「うん。雨の時に使いたいの。本当はお父さんが元気になったら、一緒に出掛けて使いたかったけど……」
どう返せばいいのか分からず、言葉が出なかった。
女の子は話を続ける。
「お父さんが死んじゃってから、ずっと泣いてた。でも、このままじゃいけないと思って、傘を持って外へ出たの。空にいるお父さんに、傘を使ってるところを見せて、私は元気だよ!って言いたい」
「……そっか」
俺も空を見上げる。
さっきと変わらず、雲一つない。
「神様が降らせてくれないかな……雨」
女の子が神様と言ったのを聞いて、思いついた。
「俺さ、神様と友達だから聞いてみようか?」
そう言うと女の子はこっちを向き、目をキラキラさせる。
「本当!?お願い!お願い!」
女の子はぴょんぴょんとジャンプしながら言った。
神様は俺達天使の親だけど、今回だけは友達ということにしておこう。
文句を言われたら、謝ればいいさ。
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