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「君のお父さんも、あの虹の上にいるかもな。虹が消える前に言いたいことを言っておくといい」
「うん!」
女の子は左手で傘をぎゅっと握り、虹向かって大きく右手を振りながら叫ぶ。
「お父さん!傘ありがとう!すごく可愛くて!気に入ってるよ!お父さんが居なくなって泣いちゃったけど!元気だよ!あと!私がお母さんを支えるから!安心してね!」
女の子は言い終えると、清々しい顔をしていた。
「よかったな。お父さんに言えて」
「うん。言いたいこと全部言えたから、すっきりした!」
俺もなんだかすっきりしたような気がする。
誰かの為に何か行動が出来たからだろう。
「本当にありがとう!またね!」
女の子はお母さんと出掛ける用事があると言って、去っていった。
「またね……か」
多分、もう会うことはないと思う。
そう思うと、少し寂しかった。
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