2 火星開拓公社概要

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2 火星開拓公社概要

◎火星開拓公社とは  火星開拓公社(マーズ・パイオニア・リパブリック・カンパニー)は国連加盟国が出資して設立した、全世界的な公的企業です。超伝導磁気浮上便による宇宙開発競争の活性化が始まった前世紀末、当社は公平な火星開発を信条として設立されました。  21世紀末、多数の国家がわれ先にと火星へ人間を送り込み、排他的な研究・開発が進められていましたが、こうした状況は効率が悪く、将来的な(領有権などを巡った)対立のリスクファクターになるという懸念がありました。  そこで全世界が手を携え、共同で火星開発を専業とする企業設立に至ったのです。これはついに地球では成し遂げられなかった、一種の世界政府と呼べるでしょう。 ◎開発の目的  火星開発には根強い批判がつきまとっています。地球ですら未開発の第三国があるのに、なぜ隣の惑星をテラフォーミングする必要があるのか? おそらくその通りでしょう。しかしその論法を適用すると、すべての資本を第三国へ傾注しなければならなくなります。  科学でもっとも大切な分野は基礎研究です。一見社会へ還元できる要素がなさそうな研究から、こんにちの科学文明に欠くべからざる技術が生まれてきました。量子力学はその最たる例でしょう。  火星でのテラフォームが地球の気候変動への対策になるかもしれませんし、ならないかもしれません。それでもとにかくやってみる。それが科学的な向上心ではないでしょうか。 ◎職員大募集  火星開拓公社では常時移住者を募集しています。興味のある方は自国政府を通じて応募いただき、ぜひ赤い大地へお越しください。
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