2人が本棚に入れています
本棚に追加
序章
「ハァッ、ハァッ、ハァッ…」
夜中の2時…頃だろうか。
光のない闇の中、森の中を、一人の少女が必死にナニカから逃げていた。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ…っあぁ!!」
下に転がっていた小さな石に躓いて、転んでしまう。
その間にも、ナニカは彼女に迫っていた。
「痛った…。…っ!?」
膝を擦ってしまったみたいだ。
何も見えないが、血が滲むのがわかる。
わかった瞬間には、ナニカは彼女の目の前に迫っていた。
おぞましい感じがする。
(空気が重い…動けない…)
ナニカは、腕を振り上げ、彼女を襲おうとする。
何も見えないのに、何故かそれだけはわかった。
「あ…あ…、だっ…誰か、たす…」
「ハアッ!!」
いきなり、甲高い女性の声が聞こえ、重たい空気が一気に軽くなる。
と同時に、誰かが空から落ちてきた、いいや、降りてきた。
「あかり!無事なの?」
「あ、うん。それより、そっちは?」
「以上はないわね。で、まぁーだ瘴気が晴れないと?」
「うん。あ、やっと晴れだしたよ」
途端に、月や星々の光が目に入る。
(暗かったの、瘴気…要するに、霧のせい…?にしては、暗すぎたような…)
「…っと。あれ、新しいお客さん?にしても、大変だったね。来てすぐにアレにやられるだなんて」
「ちょっとあおい…」
「えっとね、さっき君を助けたのが…」
「ちょっと、こんな暗いとこでやるわけいかないでしょ。ねえ君、私達と一緒に来る?」
(…は?)
いきなりのこと過ぎて、何がなんだかよくわからない…。
(落ち着け…。一旦整理しよう。
まず、さっきトラックにはねられて、意識が消えた。で、気づいたらこの真っ暗な森にいた。で、ナニカに追いかけられて、目の前にいるおねえさん…おばさん…?に助けられた。そしたら、他の人たちも空から降って…きて、何かを色々一気に話し出して、で、私のことを引き取ろうとしている…と。
ん…、いまいちわかんない)
「あ、あの…」
少女は、思い切って聞いてみることにした。
「あなた達は、一体…?」
「あ、私達は、コネクターだよ。あなたみたいな人たちを助けたり、アレを狩ったりしているんだ。あなたの身は保証するから、無理強いはしないけど、一緒に来る?」
「い…、行きます」
(え…自分何言ってるの?)
無意識のうちに少女はそう言い、あとからびっくりする。
「よしきた。ゆみ〜、この子運んでくれない?」
「別にいいけど…。なんか、驚かせてごめんね。私はゆみ。あなたの名前は?」
「あ…。さくらです。よろしくおねがいします、ゆみさん」
「さんとかつけなくてもいいのに。さ、手を握って」
ゆみは、さくらに手を差し出す。さくらは、差し出されたゆみの手を握った。するとすぐに、魔法陣が地面に描かれた。紫色に、発光していて、段々とその光は強くなっている。。
「わあっ!」
発光が強くなって、辺りが白くなった瞬間、さくらとゆみの体はそこから消えた。
最初のコメントを投稿しよう!