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開幕
発光が収まり、さくらがゆっくりと目を開けると、まず家の明るい照明の光が飛び込んできた。
「は〜、やっとついた…。転送魔法、体の負荷が重すぎるからポーション飲まないと」
ゆみは、私の手を離すと、キッチンの奥にある冷蔵庫に向かっていった…と思ったら、その隣りにある木の棚をガサゴサ探し始めた。
「ただいま〜!!」
「ただいま」
ドアがガタンと大きな音を立てて開けられる。まだ到着していなかった人たちが帰ってきたようだ。
「ゆみ、今日のご飯は?」
「は?まだ3日も経ってないのに、いらないでしょ。ほしいなら、ほら、庭にいくらでも雑草が生えてるからそれ食べて」
「冷たいなぁ…。あ、そうそう、それより先に、自己紹介しちゃおうよ。まだチビちゃんからしたら、ただの怖いお姉さんだと思うから」
(チビちゃん!?私、165cmなのに…)
愕然と立っているさくらをよそに、みんな部屋の中央にあるテーブルの下においてある椅子に座りだした。
「ほらほら、ゆみとチビちゃんも」
「さくらをチビちゃんって呼ぶのは可愛そうよ。あ、あった」
ゆみがすぐに反応する。そして、こちらに戻ってきた。どうやら見つかったようだ。
「よしっと、全員集合!じゃあ早速、自己紹介いってみよ〜!私はリーダーの…」
「あおいは違うでしょ…」
一気にみんな笑いだした。あおいと呼ばれた紫髪ベリーショートの女性はお調子者なのだろうか。
「私が本物のリーダーの、あかり。さっきあなたを助けたのが私ね。属性は、天よ。よろしくね」
茶髪のセミロングの女性だ。顔も可愛いし、多分学校でモテモテだったんだろう。
「あの、あかりさん…」
さくらが恐る恐る手を挙げる。
「どうしたの?」
「あの、属性って…?」
「ああ、属性っていうのはね、その人が得意というか…、できる技よ。」
「へ〜」
「で、私がサブリーダーの…」
再びあおいが偽サブリーダーを名乗る。
「サブでもないでしょ、スーパートラブルメーカー」
「ひ、酷いな…」
「で、私がサブリーダーのこまち。属性は地。よろしく」
長い黒髪を後ろで一つにまとめている。平安貴族みたい…だ。
「で、あたしが本当は役割がないあおいだよ」
「一応掃除係でしょ。それと、あおいの属性は風よ」
ゆみのツッコミがすかさず入る。
「一応、私の幼なじみなのよね、こう見えて」
「あ、私はみき。属性は炎だよ。一応、炊飯係。よろしくね」
こちらは、赤髪を右上でサイドポニテにしている。快活なのかと思いきや、話し方からしておしとやかなのだろうか。
「意外とみき、怒らすと怖いから気をつけてね〜」
あおいがさっきと同じ調子で会話に入ってきた。と、あおいの後ろでなにか不気味な気配がした。
「あ〜らあおこ。今なんて言ったかもう一度聞かせてもらってもいい?」
「ひいっ!!ごめんなさい…」
「はい、いい子。」
(何、この空気…)
さっきの不気味な空気は一瞬でなくなったが、あおいが凍りついてしまった。
(こ、怖…)
「で、園芸係のゆみ。外の植物の栽培とかしてるわ。属性は水よ。よろしくね」
腰まである金髪をワンレンにしている。賢そう…。
「よ、よろしくおねがいします…」
「さてと、あなたのことも聞かせてもらおうかしら」
あかりが、手をパンと打っただけで、場の凍った空気をなくす。
あおいもまださっきの影響は多少残っているが、解消されたみたいだ。
「ええと、さくらです。トラックに轢かれて気絶してたらさっきの森にいて…。そこを助けてもらったかたちです。コネクターとかなんとかわからないんですけど、よろしくおねがいします」
「へ〜、さくらちやんかぁ…。ちょっとまっててね。お腹すいたでしょ、ご飯作ってくるね」
「あ、はい」
みきが立ち上がり、台所の方に向かう。
「あの、今更ですけど、コネクターって、なんですか?」
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