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「でもみき。そんな面倒な真似、わざわざするかしら?」 「いのりさん。英語で書かれた内容もある本を数冊なんて、今のご時世、誰かの目に留まることは当然避けたいはずです。そうなると、隠し場所はどうしても人目につかない場所にするしかありません。屋根裏や地下では、虫やネズミに荒らされる危険もありますしね」 「十分考えられるわ。これは何としても見つけ出して、私達の名前と記録を末尾に付け足さなくてはね」  あきがはしゃいだような声を出す。  ただ声自体は決して大きなものではないので、隣の病室から苦情が来たり、看護婦が乗り込んでくることはない。 「それで、壁紙を張り替えたのって、どの部屋なのかしら?」  みきの問いに結愛は視線をほんの一瞬泳がせてから口を開いた。 「あの…… 院長室です」 「これは、これは」  あきが目を見開いて言った。
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