17.

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「あと少しよ。手を延ばして」   バルコニーの上からいのりと結愛、そしてみきが懸命にロープを引く。  流石に疲れたのか、あるいはみきの時のように踏み台になってくれる人がいないからなのか、あきにロープをよじ登る力はなく、掴まっているのが精一杯といった様子だった。  みきは自分を階上に押し上げるため踏み台になってくれたあきのことを思い出し、最後の力を振り絞ってロープを引いた。  ロープがバルコニーの手すりとの摩擦であわら切れるかというまさにその瞬間、あきは手すりに足をかけるとぐっと身体をバルコニーのなかに押し込んだ。  あきが力なく笑いかけるのと、結愛がひしっと抱きつくのはほぼ同時だった。  いのりが泣き出しそうな笑顔になっているのを見て、みきはバルコニーの端に座り込んだ。寝巻きが乱れていることなど、気にすることもなかった。  その時はじめて、満天の星空であることにみきは気づいた。  ここに来るまでに、いや、ここに来てからもこれほど見事な星空は見たことがなかった。
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