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18.
コップにつがれた水を一口飲み、少し身体を休めるとあきとみきは下であったことを全て話した。深夜の3時をすでにまわっていたが、頭は冴えていた。
全員でいつものように結愛のベッドの周り二集まっていた。もちろん明かりはつけずに。
「それにしても、よく今まで気づかれませんでしたね? いくら壁紙の下とはいっても、見た目が凸凹したそうな気がしますが?」
結愛がそう言うと、あきが首を振った。
「障子でいうところのさんの部分だけ残して、障子紙にあたる部分の壁を薄く削っていたのよ。そうすれば紙を数枚貼って押しピンで止めても、上から壁紙を貼ってしまえば凹凸はそこまで目立たないわ」
「それよりあなた達、その壁紙はちゃんと戻せたの? 明日になったらバレないかしら?」
「それは大丈夫だと思います」
いのりが心配そうに聞き、みきがそれに答えた。
「壁紙は全部壁から取り外したのではないので貼り直すのは簡単でしたし、それに覚え書きの頁の紙も一部だけ抜き取って、あとはそのままですから」
「ある場所さえ分かっていれば、またいつでも取ってこれるわ」
あきはそう言うと、抜き出した部分の頁を取り出した。折りたたまれシワシワだったが、十分に形をなしている。
「なんて書いてあるのかしら?」
いのりが興味深そうにそれを見たが、あきはあくびをして答えた。
「また続きは明日にしましょう」
あきはそう言った。
三日後、日本は降伏し戦争は終わった。
そしてさらに二日後、あきは病状が悪化し死んだ。
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