アノマロカリスとアレックス

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 小石くんは古生物の研究者になりたい。それを聞いたのは、若草山に遠足に行った時のことだった。  班のメンバーが集まるまでの間、たまたま二人だったので、少し話したのだ。 「コセイブツ?」 「うん。古生物」  小石くんと私は、座り込んで小石をいじりながら、話した。 (小石くんと、小石)  と、思った。でも私は、それで小石くんをいじったりなんてしなかった。  なぜなら私は、小石くんと仲良しになりたかったからだ。小石くんのことが、ひそかに好きだったから。  小石くんのどこが好きって、正直言って、まず顔である。出会った瞬間、一目ぼれ。いや、小石くんのことは小学校から知っているから、一目ぼれとは言わないのかもしれない。中三で再び同じクラスになって、ハッとその存在に気づき、ときめいてしまったのだ。  小石くんは急に背が高くなって、声も低くなっていた。あとちょっと、態度が悪くなっていた。ついでに言うと目も悪くなっていて、黒縁メガネをかけていた。  そう、それは、まるで……私が好きなリズムゲームの最推し、「アレックス」みたいだったのだ。
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