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ある都市で、目の色が左右で違う、女の子が生まれた。
ここでは、目の色が左右で違うと「忌み子」だと呼ばれ、死ぬまで牢屋で過ごすらしい。
ずっと牢屋で過ごし、外に出ることは許されず、誰の目にも触れることなく、一生を終える。
狂ってる。
ここにいる大人たちはどうかしてる。
女の子は、小さい頭なりに、そう思った。
一緒にいてくれたおばあちゃんも、いつの間にかいなくなってしまった。
おばあちゃんも目の色が左右で違く、琥珀色と灰色の綺麗な色だった。
*
おばあちゃんがいなくなって、長い月日が経った。
女の子は変わらず、ずっと牢屋の中。
おばあちゃんがいなくなって、ふと疑問に思ったことがあった。
ずっと牢屋にいたおばあちゃんは、いつ「にじ」を見たのだろう。
小さい頃、おばあちゃんから聞いた話は嘘だったのだろうか。
小さい窓はあるけれど、少し外を見れるくらいで、大空に描いた弧を見ることはできない。
でも、その話をしていたおばあちゃんの顔は、とても輝いていて、誰かと一緒に見たような話し方だった。
「私もいつか見てみたいな」
「何を?」
「何って、にじっていう七色の…。え?」
「え?」
「え、誰?というか、どこから入ってきたの!?」
「どこからだろう?」
「私が聞いてるんだけど?!」
いつの間にか、そこには男の子がいた。
どこの誰で、どこから入ってきたのかも分からず、のらりくらりとしており、どことなく雰囲気がおばあちゃんに似ている感じがした。
「で、何を見たいの?」
男の子は女の子の顔を覗き込むよに聞いてきた。
「外に出て虹が見たい」
そう、女の子は悲しそうな顔で呟いた。
男の子は女の子の手を取り、笑顔で「じゃあ、見に行こう」と言った。
「無理だよ。私はここから出られないもん。それに、虹って雨が降った後に、太陽の陽がないと見れないんでしょ?」
またも女の子は悲しそうな顔で言った。
「僕がここに来れたんだから出られるよ。大丈夫、雨よ降れ~って願ってれば降るから」
男の子は自信満々で笑った。
そして、男の子は女の子を牢屋から連れ出した。
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