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夢にまで見た外の世界は、眩しく輝いて見えた。
あの牢屋にいたのが嘘だったかのように思えるほど、外の世界は明るく賑やかで、目を奪われた。
「ほら願って、雨よ降れ~って」
そう言って、男の子は女の子の手を掴んで引っ張りながら走っていく。
女の子はどこに向かって走っているのかわからないまま、その手を離さないように握り返し、引っ張られながら男の子に置いて行かれないように、必死に走った。
願いが届いたのか、ぽつりぽつりと雨が降ってきた。
二人は濡れることを気にすることもなく、雨の中、手を繋いで走っていく。
「もうすぐだよ」
男の子がそう言って、辿り着いた場所には何もない草原だけが広がっていた。
不思議と雨は止んできて、太陽の陽が差した。
雨あがりの澄み渡る青空に、七色の弧を描いた虹がかかった。
「これが虹。すごく綺麗」
女の子はそう呟いて、男の子に笑いかけた。
めでたしめでたし。
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