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(やったよ、エレナ!
待ってておくれ、もうじき迎えに行くからね…!
これでもう誰にも僕らの邪魔は出来ない…!)
自身の足音と息遣いしか聞こえない漆黒の闇の中、セザールは込み上げる感情に叫ぶのを押さえることが出来なかった。
ついに目的をやり遂げたという高揚感に酔いしれ、これからの二人の幸せな未来を想像すると、セザールの喉からは、再び、おかしな叫び声が発せられた。
(とにかく今夜中にこの山を越えるんだ。
そして、レスターの町に着いたらそこからは馬車で……)
それは、何ヶ月も前から考えに考え、細かな所に至るまで何度も修正しては、彼が実際に行動して確かめた完璧な計画だった。
(僕達が幸せになるためには、こうするしかなかったんだ……)
セザールは不意に立ち止まり、月さえも霞む暗い夜空を見上げた。
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