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「ここが芽惟さんの部屋です。俺の部屋は、あっち」
「……あ、はい」
あれから数ヶ月後。芽惟は高級マンションの一室にいた。
白を基調とした美しい部屋には、ある程度の家具が置かれている。それらはすべて高級品であり、到底今までの芽惟が手にできるようなものじゃない。
「一応寝室は一緒にしていますが、俺は普段私室で寝るので」
「あ、そうですよね」
唖然としすぎて、淡々とした言葉しか返せない。
でも、そう思うのもある意味当然だ。だって、芽惟が敦也のプロポーズを受け入れてから、全てがとんとん拍子に進んでいるのだから。
(かといって、結婚まで同棲する意味って、ある?)
敦也曰く、いろいろとややこしいことになりそうだから……ということだったが、多分それはメディア関連のことだろう。
芸能人でもないのに、と思う気持ちはある。でも、敦也は今をときめく若手社長、しかもイケメンなのだ。その妻となる女性にメディアが興味津々になるのも分かる……かも、しれない。
(うん、これはある意味防犯的な意味を含んでいるんだわ。……同棲と言うか、同居、よね)
このマンションは管理人室もあるし、部外者は立ち入り出来ないようになっている。あと、警備員も常時配置されているそうだ。
鍵はオートロックとなっており、部屋自体の防犯面も申し分ない。……正直、芽惟からすれば場違い感が否めない場所。
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