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「あ、出かける際は細心の注意を払ってください。……誰が、何処で監視しているかわからないので」
「……え、えぇ、わかりました」
やはり、彼は一種の芸能人なのだろう。
それを察しつつ、芽惟は部屋を私室として与えられた部屋に足を踏み入れる。
「……なんていうか、悪いなぁ」
思わず、ボソッとそんな言葉が零れた。
敦也にはもうすでに宗像企業への援助をしてもらっている。おかげで、正史の調子もよくなっており、精神的にも安定したようだ。
しかし、それに合わせ住む場所まで提供してもらうだなんて……なんというか、おんぶにだっこ感が否めない。
「家賃出すって言ったのに、断られたし……」
敦也が自身の部屋に戻ったのを確認して、芽惟はそう零す。芽惟の財布事情ではこのマンションの家賃なんて、半額も払えないだろう。だけど、ある程度は払うつもりだったのに。
彼は、そんなもの必要ないという。曰く、雇われ妻としての給料でもある……らしい。
(っていうか、市原さん……いいえ、敦也さんのご両親って、どんな方かしら?)
そういえば。ふと、彼の両親に会っていないことを思い出す。
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