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「って、そんなこと考えても無駄よね。大体、敦也さんのお知り合いと私が知り合いっていうわけがないのだから」
考え直して、芽惟は頬をぱちんとたたく。
「そもそも、あの人は誰ですか、なんて聞くような間柄でもないし。私たちは所詮、契約上の関係じゃない」
合わせ、それを聞いてしまうと――なんだか、嫉妬しているみたいじゃないか。
美しくも、可愛らしい女性だったような気がする。……そう、芽惟とは、全然違う。
「敦也さんも、写真を飾るくらい大切な女性がいるのならば、その人に契約上の妻をお願いすればよかったのに……」
ついつい、言葉が零れる。そうしていれば、エレベーターが到着したので、乗り込んだ。
「……あーあ、こうしていると、なんだか嫉妬しているみたい」
そんなわけ、ないのに。だって、敦也には恩はあれど恨むことはない。企業に援助してもらって、その代わりに求められたのがこれというだけ。……そう、だから。
「……想い人くらい、大切にすればいいのに」
ボソッと、そんな言葉を零してしまった。
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