第2章 同棲生活、始まります

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 その代わりに彼のお飾りの妻となっているが、それだってそこまで辛いことじゃない。もちろん、大好きな仕事が出来ないのは辛いと言える。だけど、だったら家事を頑張ればいいじゃないか。そんな風に、前向きに捉える。 「本当に、あなたは変わっている」  しばらくして、敦也がそう呟いたのがわかった。ハッとして顔を上げると、彼が唇の端を上げていた。 「仕事が好きだと言って、挙句こんなふざけた条件を呑んで、そのうえで感謝しているなんて言うんだから」  彼が頬杖をついて、芽惟を見つめた。……その美しい目に、吸い込まれてしまいそうになる。ごくりと息を呑めば、彼が口元を緩めたのがわかった。 「そんなあなただからこそ、俺はある意味、興味を引かれたのかもしれない」 「……え」  言葉の意味が、わからない。きょとんとしつつ、芽惟は小首をかしげる。興味、なんて……。 「あの雑誌編集者からあなたのことを聞いた」 「……麗美、から」 「そのとき、俺は強い興味を引かれた。だから、諸々交渉してあなたと会いたいと、言ったんだ」  芽惟の顔が少し引きつっているのが自分自身でもわかる。敦也を見つめていれば、彼が「くくっ」と喉を鳴らして笑った。その姿は、とても艶めかしい。男性に使う言葉なのかは、わからないが。
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