第2章 同棲生活、始まります

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「……まぁ、そういうことです。……芽惟さん。今後も、どうぞよろしく」  彼が肩をすくめて、お茶をまた口に運ぶ。その後、またフォークを持ってパスタを口に運び始めた。  今後とも、どうぞよろしく。短い言葉に込められた、何処とない温かさ。 (敦也さんって、どうして、冷徹な若社長なんて――)  少なくとも、芽惟の見てきた敦也には、そういう一面はないように思える。多少なりとも自他に厳しいが、それは経営者として必要なことで――。 (なにか、あるのよね)  そう思うが、彼に深入りすることは出来ない。だって、自分たちは契約夫婦。  深入りするなんて――きっと、契約違反だから。それだけは、よくわかるのだ。
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