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翌日。
カーテンの隙間から降り注ぐ太陽の光に、芽惟は起こされた。
身じろぎして目を開ける。……見知らぬ場所だと思って、驚いて起き上がる。
が、すぐに昨日あったことを思い出す。
「そうだわ。……私、引っ越したんだった」
未だに全く実感はわかないのだが。
そう思いつつ、芽惟はベッドから降りる。ベッドはダブルサイズであり、広々と眠ることが出来る。むしろ、広すぎて落ち着かないほどだ。
敦也はここで寝ないと言っていたし、どうせならば巨大なぬいぐるみでも置いてみようか……と、一瞬だけ考える。
けど、実家からぬいぐるみだけ運搬するのも面倒なので、その考えは消した。
ベッドの側にかけてある上着を羽織り、芽惟はカーテンを開ける。朝日が眩しい。むしろ、日当たり良好なのか、今までよりもずっと眩しく感じる。
「……なんか、目覚めだけはすっきりとしそうね」
それは、純粋にいいことなのかもしれない。
そんなことを考えつつ、芽惟はリビングに向かう。時計の針は午前五時半を指している。敦也の起床時間は聞いていないので、まだ寝ているか、はたまた起きているか。そこは定かじゃない。
ただ、わかることは。……彼は芽惟に負けず劣らずの仕事人間だということくらいだろうか。
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