第2章 同棲生活、始まります

16/26
前へ
/51ページ
次へ
「そうですか。でしたら、よかったです。それにしても、早起きですね」  彼は芽惟に視線を向けることはなく、延々とタイピングをしながら声をかけてくる。  ……もしかしたら、彼は気を遣ってくれているのかもしれない。そう、思ってしまった。 「いえ、私はいつもこの時間に起きるので……」 「へぇ」  その相槌は、興味があるのかないのか。上手く判別できないようなもの。  それでもまぁ、返事をくれるだけいいだろう。芽惟はそう思って、ダイニングテーブルのほうに近づいていく。  敦也の近くには、マグカップに入ったコーヒーがある。砂糖はわからないが、ミルクは入っていないようだ。 「あの、私もコーヒー、いただいてもよろしいでしょうか?」  一応とばかりに確認すれば、敦也は「どうぞ」と言ってくれる。 「そこの戸棚にインスタントならありますので」 「そうなのですね」  指定された戸棚を開ける。  そこあったのは、コーヒーの粉だけではなかった。 (紅茶のものもあるし、カフェオレもあるのね。……あ、ココアとかもある)  よくスーパーとかで売っている、一杯分に個包装されたものがずらりと並んでいた。  芽惟は、少し迷った末にカフェオレの粉を取る。そのままマグカップにいれ、そこにポットからお湯を注いだ。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1163人が本棚に入れています
本棚に追加