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「そうですか。でしたら、よかったです。それにしても、早起きですね」
彼は芽惟に視線を向けることはなく、延々とタイピングをしながら声をかけてくる。
……もしかしたら、彼は気を遣ってくれているのかもしれない。そう、思ってしまった。
「いえ、私はいつもこの時間に起きるので……」
「へぇ」
その相槌は、興味があるのかないのか。上手く判別できないようなもの。
それでもまぁ、返事をくれるだけいいだろう。芽惟はそう思って、ダイニングテーブルのほうに近づいていく。
敦也の近くには、マグカップに入ったコーヒーがある。砂糖はわからないが、ミルクは入っていないようだ。
「あの、私もコーヒー、いただいてもよろしいでしょうか?」
一応とばかりに確認すれば、敦也は「どうぞ」と言ってくれる。
「そこの戸棚にインスタントならありますので」
「そうなのですね」
指定された戸棚を開ける。
そこあったのは、コーヒーの粉だけではなかった。
(紅茶のものもあるし、カフェオレもあるのね。……あ、ココアとかもある)
よくスーパーとかで売っている、一杯分に個包装されたものがずらりと並んでいた。
芽惟は、少し迷った末にカフェオレの粉を取る。そのままマグカップにいれ、そこにポットからお湯を注いだ。
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