第2章 同棲生活、始まります

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 そのマグカップを持って、敦也の目の前に腰掛けた。  彼は芽惟に視線を向けてくることはない。それをチャンスだと捉え、芽惟は敦也の顔を観察した。  恐ろしいほどに整った顔立ちだと思う。なんというか、イケメンという言葉だけでは表せないような。 (芸能人でも、通用するんじゃないかな……?)  そう思いつつカフェオレに息を吹きかけて、ある程度冷まして口に運ぶ。 (っていうか、いつもこの状態だったら、本当に調子を崩されるのでは……?)  挙句、そんな心配までしてしまう。  深入りは契約違反だ。わかっている。わかっているからこそ、なにも言わない。ただ、勝手に心配するのは問題ない。  ……口に出さなければ、契約違反にはなるまい。  ぼうっとしつつ敦也の観察をしていれば、彼が顔を上げ、芽惟を見つめてきた。  その目には不快という感情は宿っていない。ただ、まるで芽惟のことを『不思議な生物』だと思っているかのようだ。 「なにか?」 「いえ」  声をかけられて、芽惟はゆるゆると首を横に振る。敦也は納得していないようだったが、それ以上問いかけてくることはなく、パソコンを閉じる。次にスマホの一台を操作する。 「今日は帰りが遅くなると思いますので」 「承知いたしました」  どうやら、スケジュールのチェックをしていたらしい。  彼の言葉に頷きつつ、芽惟は立ち上がる。マグカップには、カフェオレがあと半分ほど残っている。
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