第2章 同棲生活、始まります

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「必要とあれば、あなたの私物を買うのにも、使ってください」 「……い、いや、それは」 「なにか、問題でも?」  確かに契約的とはいえ、結婚した。つまり、財布は共有してもおかしくはない……の、だろうが。 (さすがに、そんなものを預かるのは無理!)  落としたりしたら、普通に怖い……。  頬を引きつらせる芽惟に、敦也は「あぁ」と声を上げた。 「明細書は見ますけれど、別になにを買ったかまでは追求しませんが」 「そういうことじゃないです!」  本当に、敦也は芽惟を、女性をなんだと思っているのだろうか。  そう思ったから、芽惟はテーブルをバンっとたたいて立ち上がる。彼が、驚いたように目を瞬かせる。 「何度も言っていますが、私は贅沢がしたくて敦也さんと結婚したわけでは、ないです!」  真剣に彼の目を見て、訴えた。 「生活に必要なものは、やりくりします。なので、現金でください」 「……え」 「カードなんて、怖くて持てないです」  ゆるゆると首を横に振ってそう伝えれば、敦也は困ったような表情を浮かべた。が、しばらくして頷いてくれる。 「わかりました。……ただ、すぐには渡せないので。一時的に立て替えてくれますか?」 「はい、承知しております」  提案したのは芽惟なのだから、それくらいは当然だと言える。むしろ、これは昨日のうちに伝えておくべき事項だっただろう。  そういう意味では、芽惟の不手際だ。
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