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(いいえ、出された条件が条件だし、血も涙もないのはある意味正解のはず。……うん、そう)
けれど、それとなく芽惟を気遣ってくれているのはよくわかる。彼に告げたところで、きっと否定されるのがオチだろうが。
「って、あぁ、さっさと食べて片づけなくちゃ……」
敦也が時計をちらちらと見ていたのは、出勤時間を気にしてのことだったのだろう。
それを理解して、芽惟は慌てて食事を進める。
(せめて食器を片付けてから、お見送りしなくちゃ……)
見送りなども、決して強制されてのものではない。芽惟自身が、彼を見送りたいと思っているだけだ。
そこには打算も欲もなにもない。一緒に住んでいるのだから、せめてもの役目だと自負しているだけ。
……芽惟の勝手な思い込みだ。
「今日はこの後食材とか買い出しに行って……」
その後は、荷解きでもしよう。……いつまでも段ボールが積みあがっている部屋では寛ぐのも難しいだろうから。
「そうだ。家に連絡とかも入れて……」
芽惟はこの後の予定を慌てて頭の中で組み立てていく。
……今後の生活に不安がないとは言えない。だが、想像していたよりはいい生活になるような予感はしている。
こういうときの芽惟の勘は、案外当たるものなのだ。
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