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(……へたくそな料理)
メッセージに添付されていたのは、お世辞にも上手とは言えない料理だった。
父によれば、これは父が作ったものらしい。
多分芽惟がいなくても大丈夫……と伝えるつもりなのだろうが、これでは逆に心配になってしまう。
(まぁ、私が余計な口出しをするべきじゃないわね)
心配事を連ねるのもアリだとは思う。だが、どれだけ小言をぶつけても芽惟があの家に戻る可能性は低い。
だから、それとないアドバイスのメッセージを送った。すぐに返信が来る。
アドバイスのお礼。それから……芽惟はどうしているかという文章だった。
「こっちのことなんて心配しなくていいのに……」
愛のない結婚ではあるが、彼が悪い人ではないことは芽惟にもよくわかる。
でも、やはり娘を心配するのが親心というものだろう。そう思い、芽惟は適当に安心させるような文章を作って、送った。
「さて、買い物の準備準備っと……」
そう呟いて立ち上がった。
「……今日は一人みたいだし、お昼ご飯も夕ご飯も適当にしようっと」
敦也は苦労しない分の生活費をくれると言っている。多少は贅沢をすることだって可能なはず。
が、芽惟はどうしてもそんな気分にはなれなかった。
「贅沢をするのは、彼の役に立っているって実感してから。評価されてからのご褒美!」
今はまだなんの役にも立っていない。
それなのに贅沢なんて出来やしない。まさに、働かざるもの食うべからずだ。
そんなことを考えつつ、芽惟は部屋に鞄を取りに戻るのだった。
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