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「明日雨になーれ」
帰り道。僕は道路の前方に向かって、思い切り靴を飛ばす。表なら晴れ、裏なら雨。側面なら曇り。
「明日は」
靴は表だった。だから僕は靴に近寄って、ちょこんと蹴飛ばした。靴はクルッとひっくり返り、雨になった。
「明日は、雨」
プールの授業がある日の前日は、毎回靴を飛ばし、たとえ晴れが出ようとも、最後は裏にして気を済ます。
「明日は、雨」
プールなんてなくなればいい。そうしたら、僕は恥ずかしい思いをしないのに。
「ずっと、雨ならいいのに」
雨、雨、雨。ずっと雨。ずっと裏。プールの水が雨水で満たされちゃえばいい。誰も泳げないようになってしまえばいい。
それが僕の願いだった。
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