雨になーれ!

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「明日雨になーれ」  四年生の夏。僕は相変わらず靴を飛ばしては、裏面にした。 「明日は、雨」  明日はプールの日。しかも二時間連続だった。クラスのみんなは「やったー、プールだ!」と喜んでいる。暑い夏にプールはもってこいらしい。だけど、僕はその輪に入ることができない。泳げないだけで馬鹿にされて、惨めな思いをする。泳げないだけで成績も下がる。泳げないだけで、息苦しくなる。泳げるようになりたい。だから一生懸命身体を動かしている。それでも、人間には「才能」というものが存在する。その才能を持っていない人は、いくら頑張っても才能がある人を超えられない。努力したってできないものはできない。  才能がないせいで泳げない。泳げないといじめに遭う。いじめに遭うと学校が嫌になる。学校が嫌になると学校に行かなくなる。学校に行かなくなるとお母さんやお父さんが怒る。お母さんやお父さんが怒ると、僕は居場所がなくなる。  泳げないだけで、僕は生きることができなくなる。 「明日は、雨。ずっと雨。体育館も壊れちゃうくらいの雨。雨が降らないと、僕は」  僕はどうなるのだろうか。  
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