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弥勒櫓
物の化け物で物の怪だ。
盆踊りなどで使われる櫓だ。櫓は盆踊りの時に中心にある建物だ。
その櫓ははぐれ陰陽師として生きていた娘が作った。
元々は勒菩薩を祀っていた弥勒教のために作られた物だ。
どんどん
初閻魔の日、少女は山の中で山に似合わない音を聞いた。
不気味だったが楽しげな音だったので音の方へ向かった。
狸達が櫓を囲み踊っている。
あの櫓はどこから来たのだろうと少女は不思議に思った。
櫓では二匹の狸がどんどんとお腹を叩いている。
みろくさま
みろくさま
みろくお舟でやってくる
みろくお舟でやってくる
だんご 牡丹餅
たんと つんでやってくる
みろくお舟でやってくる
自分で漕いでやってくる
みるどつわる なるどたちる
みるどつわる なるどたちる
狸達がなんとも言えない歌を歌い踊っている。
「まざれ」
声がした。少女は狸に見つかった。
狸は少女の手を取り踊りに混ざる。
みろくさま
みろくさま
みろくお舟でやってくる
みろくお舟でやってくる
だんご 牡丹餅
たんと つんでやってくる
みろくお舟でやってくる
自分で漕いでやってくる
みるどつわる なるどたちる
みるどつわる なるどたちる
少女も踊る。
少女も歌う。
少女は閻魔様の日に山に行って閻魔様に会えたら閻魔様が助けてくれると聞いた。
だから初閻魔の日に山に登ったのだ。
なんで狸と踊っているんだろう?まあいいか。
少女の着物がするりと脱げる。
「そんなボロキレはもういらんよ」
狸が言う。
少女は狸になっていた。
気づくといつの間にか夜になっていた。
天からお舟がやってくる。みろくさまがみろくお舟でやってくる。
自分で漕いでやってくる。
みるどつわる なるどたちる
みるどつわる なるどたちる
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