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“どうせ30分もすれば雨も雷もやむだろう”、って思いながら本屋で買ったカメラの雑誌を数ページめくった後、私の席の隣に、大きなカメラバッグが置かれた。何だろうと思い、私は視線を隣のカウンター席に向ける。  カメラバッグを濡れない様にしていたんだと思われる、青いシャツを椅子の背もたれにかけて、背中のリュックから、朝顔の柄がすごく奇麗な絞りの手ぬぐいを出し、顔をぬぐう。  雨に濡れてぼさぼさになった髪の毛を乱暴に拭いていた時、いくらかの水滴が私のテーブルの方に飛んでくる。私は慌てて、読んでいた雑誌を閉じて水滴に濡れないようにした。
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