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プロローグ
まるで、魔法使いにでもなった気分だ。
用意した小瓶をわずかに傾けると、さらりとかすかな音がした。
校庭の砂が入った、小さな小瓶だ。
それを窓辺に置いて、白いレースのカーテンを開くと、輝く満月がどこか苦しげに私を見ていた。
「今頃は、二人も同じことをしてるのかな」
ぽつりと呟いて、両手の指を一本一本絡めるように重ねる。
どうかどうか、大切な指輪が見つかりますように。
私は真剣な気持ちで、フルムーンに祈った。
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