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2.
結婚式の1.5次会というものに初めて出席した。
会場は昔何度か来たことのある店で、最寄り駅の路線が違うから来るまで意識しなかったけれど、3月に深見先生と会ったバーからあまり離れていない場所にあった。
最初の乾杯からトップギアに入りっぱなしの盛り上がりと人の密度に少し疲れて、窓際のハイチェアに腰掛け、水滴をまとったグラスをカウンターテーブルに置く。店内にはアルコールの作用でテンションの上がった話し声が満ちていて、この数か月触れていなかった空気感に思わず感慨にふける。
「この感じ、久しぶり」
「あれ、最近夜遊びしてないの、香子」
「夜遊びっていうほどのことはもともとしてないと思うけど。……ちょっとお酒を嗜むくらいで」
「香子の年齢でバー通いって、十分パリピじゃない?」
「誰が教えたんだか」
わたしの毒舌にわははっと笑ったのは従兄の直澄だ。七歳上の直澄-ー直兄は父の姉、美澄伯母の一人息子で、わたしは昔からこの従兄と近しい。
わたしが初めて夜の街に繰り出したのは、ホテルで開かれた親族の集まりを二人で抜けだした二年前のことで、店もお酒の飲み方も直兄に教わった。しまいには一人で出歩くようにまでなってしまったが、今までそう危ない目に遭わずにこられたのは、この素行の悪い従兄の指南あってのことだったとも言える。
「今日は保護者つきだから大手を振って出てきたんだろ?」
「大手を振っても何も、お父さん、今海外」
「また?叔父さんも相変わらずだな」
「今年はもう帰ってこないみたい」
直兄が目を丸くする。
「今年ずっと?香子、今年高三だろ。受験生放って叔父さん何やってんの?」
「何って……仕事でしょ」
「進路決めるのになんだかんだ保護者の出番もあるもんじゃないの?この時期は。うちのドラ母ちゃんでさえ面談には来てたぞ」
「そうなんだよね……」
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