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夏には多くの海水浴客で賑わうのだろう。
かすかに耳に届く波の音と、ゆったりとしたBGMが相まって、次第に穂乃莉もリゾート気分になりそうだ。
「お待たせしました」
その時、突然男性の声が聞こえ、穂乃莉は慌てて現実に引き戻される。
声をかけてきたのは営業担当の吉村という男性で、穂乃莉と加賀見は名刺を交換すると、早速プランの説明に入った。
「こちらがご提案書になります」
加賀見はさっきまでの緊張した面持ちとは打って変わって、落ち着いた様子で一つ一つポイントを絞って説明していく。
さすが、今までいくつもの難関の老舗旅館やホテルを落としてきただけのことはあって、加賀見の説明には説得力があるし、何より聞いている人を引き込む魅力があった。
――やっぱり、加賀見ってすごいんだ。
穂乃莉自身も、加賀見の説明に聞き入るようにサポートに徹する。
加賀見がアポイントを取る時点で、ある程度のプラン説明をしていたのもあり、吉村の反応は好感触だった。
しばらくして、添付資料の提示をしていた穂乃莉は、ふと視線を感じて顔を上げる。
すると入り口の大きな自動ドアをぬけて、中へ入ってきた男性と目が合った。
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