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穂乃莉は玄関前に用意してもらった車に乗り込むと、自らハンドルを握り駅へと向かう。
加賀見の両親に会うのは、半年前に行われた結納の日以来二度目だ。
前回は空港からアクセスのいい場所で会ったため、両親がこの温泉街に来るのは初めてになる。
駅前の駐車場に車を停めた穂乃莉は、次々と改札口を抜けてくる多くの観光客の中に、加賀見の両親の姿を見つけ大きく手を振った。
「お父さま! お母さま!」
穂乃莉の声に気がつくと、両親は笑顔で手を振り返しながらこちらへやってくる。
加賀見の両親は海外生活が長いこともあり、とてもスタイリッシュでおしゃれな印象だ。
年齢のわりに若々しく、すらっと背の高い二人は、頭の上に乗せているサングラスが海外セレブを思わせた。
「穂乃莉さん、忙しいのにわざわざありがとう。あまりに人が多くてびっくりしちゃった」
母は目を丸くした後、加賀見によく似た笑顔でにっこりとほほ笑んだ。
「長旅でお疲れになったでしょう? 陵介さんも、もう少ししたら到着すると思います。よろしければそれまで、少し温泉街を回ってみませんか?」
穂乃莉の提案に大きくうなずくと、三人は温泉街のメインストリートへと向かった。
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