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加賀見の後を何度もつけて、偶然を装って帰り道に話しかけたりもした。
だって今まで白戸が狙った男性は、全員が自分の虜になったのだ。
だから当然、加賀見もそうなるだろうと思っていた。
でも……加賀見だけは違った。
加賀見は一度も白戸に振り向かなかった。
それどころか、加賀見の視線の先にはいつも同じ女性が立っていた。
それでも白戸が救われたのは、加賀見の視線の先の女性は、加賀見を見ることがなかったからだ。
「付き合ってるって言ったって、嘘だってすぐにわかった」
納会の夜、みんなが二人のことを付き合っていると勘違いしても、白戸の目はごまかせなかった。
「だから、すぐに壊れるだろうと思って揺さぶったのに……」
白戸は穂乃莉に、宣戦布告した日のことを思い出す。
あの時、穂乃莉は動揺していたはずだ。
それなのに……。
出張から帰って来てからというもの、二人の様子は明らかに変わった。
――もう退職まであと少しなのに……。なんであんなに、幸せそうにしてるのよ!
白戸は静まり返った更衣室で、下唇をぎりりと噛みしめた。
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