絡んでいく感情

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「ちょっと、咲良にそんな事言ったって無駄だって! 咲良は加賀見さん一筋なんだから」 「あぁ、そっかぁ」 「でもさ、今日の久留島さんと東雲社長の雰囲気見ると、ついに本命が来たって感じだね」 「本命って、結婚相手のこと?」 「そうそう。やっぱ咲良の言ってた通り、加賀見さんとの噂はカモフラージュだったんだね」 「そういうことかぁ。まぁ普通に考えればそうだよねぇ。久留島さんって、フレンドリーだけどお嬢様だもんね」 「咲良、良かったじゃん! これでまた安心して、加賀見さんといい感じになれるね。だってキスしたんでしょ?」  話をしていた内のひとりが、白戸の肩にポンっと叩くように手を置く。  同期たちは口々に言いたい放題話し終えると「お先~」と言って更衣室を出ていった。  白戸は触れられた肩に手を当てると、虫でも払うようにパンパンと力いっぱい叩く。 「気安く触んないでよ!」  イラついた声で扉に向かって叫ぶと、脱いだ制服を投げつけた。  白戸は入社した時から加賀見に憧れていた。  “絶対に、この人を落として見せる”  そう思ってアプローチし続けた。
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