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「穂乃莉さん!」
すると横から花音の声が響いた。
穂乃莉ははっとすると、再び加賀見を見つめる。
加賀見は、ほほ笑みながら優しくうなずいていた。
穂乃莉はぽろぽろと頬に零れる涙を感じながら、ゆっくりと噛みしめるように加賀見にうなずき返す。
「はい」
穂乃莉の声が響いた途端、その場でうずうずと待っていた全員が一斉に飛び上がり叫び声を上げた。
そして次々とクラッカーが打ち鳴らされる。
一気にお祭り騒ぎになった会場の中、加賀見は立ち上がると、穂乃莉を抱き上げて、そのままぎゅっと強く抱きしめた。
二人はあっという間にみんなに取り囲まれ、もう既にもみくちゃだ。
みんなの祝福の言葉が溢れる中、穂乃莉と加賀見は再びお互いを愛しそうに見つめると、きつく抱きしめ合う。
――あぁ、なんて幸せなんだろう。
今この瞬間、自分は世界で一番幸せなのではないかと思ってしまうほどだ。
――こんなにも溢れる程の愛をくれる加賀見を、私も一生愛していく……。
加賀見の温もりに包まれながら、笑顔で涙をぬぐう穂乃莉の左手の薬指には、加賀見がつけてくれたエンゲージリングがキラキラといつまでも輝いていた。
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