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「明日の四才の誕生日プレゼント、何がいい?」
と、私は寝室でお父さんとお母さんに尋ねられ、顔をぱっと明るくした。
年に一度の誕生日には、何を欲しいか考えるのが楽しみで、私は一週間前から悩んでいた。
「最近の希美はおままごとにはまっているんだよね? おままごとセットが欲しいのかな?」
とお父さんは言った。
「最近の希美はお風呂にはまっているから、お風呂でお遊びセットのほうがいいかもね?」
とお母さんは言った。
もちろんおままごとセットもお風呂セットも魅力的だ。
しかし、私は欲しいものが決まっている。
「魚のトレーが欲しい」
と私は答えた。
お父さんとお母さんは、首を捻った。
「トレー?」
と驚いた表情で目を丸くした。
「あと、あるならプリンのカップとか、でもプリンはいらないの。プリンのカップがほしいんだ。とにかく私はね『廃材』がほしいの」
と私は付け加えた。
「ほう」
お父さんはにっこりと笑って、お母さんは考え込んだ。
「あ、あったかなあ?」
とお母さんは呟いた。
「プレゼントは今日欲しいんだ」
と私は言った。
「ん?」
とお父さんは首をかしげた。
「そうしたら準備できるんだ」
と私は言った。
「準備?」
とお母さんにも首をかしげた。
「明日、雨が降るんだ。雨の日ほど楽しい日はないよ。だから明日のために準備しておこうよ!」
と私は提案した。
お父さんとお母さんは、顔を見合わせた。
「何かよくわからないけど、探そう」
と言ったお父さんにお母さんは同意した。一緒にキッチンに行き、みんなで廃材を探す。
見つかったのは、お菓子の箱、魚のトレー、プリンのカップ。それらを紙袋に入れてベランダの近くに置いた。
「さて、夜も遅いし、寝よう」
お父さんの言葉に、私とお母さんは頷いた。
私はベッドでお父さんとお母さんに挟まれて、ゆっくりと眠りについた。
明日は日曜日で、雨が降る予報だった。
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