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庭が気になるが仕方がない。頼みの綱は天気予報だった。スマホを見ると、翌金曜日の午後は、K市は曇りから雨になる、と出ている。一刻も早く降ってくれと祈りながら、寝た。
五日目の金曜日は、朝から課長と二人で点検の続きをした。ここのシステムは、わが社がゼロから始めたものではなく、東京のX社が設置したものを途中でわが社が引き継いだので、一筋縄ではいかないのだ。しかし、それを言い訳にできるほど、業界は甘くはない。ここで我々が失敗すれば、すぐにその噂が広まり、わが社が新規受注を巡る戦いで苦境に立たされる危険性がある。だからこそ、課長も必死なのだ。そして俺の運命も課長と一蓮托生なのだ。
昼食時に、スマホでK市の天気予報を見た。まだ、雨が降らない。雨のマークが先へ移動している。雨よ、降れ!
午後の三時ごろ、小休憩で天気予報を見た。もう降っているはずだと思ったが、降っていない。また、雨のマークが先に移動している。何て卑怯な天気予報だ! 雨よ、降ってくれ、早く!
午後の五時になった。依然として終わりが見えない。K市も雨が降らない。このままでは今日も名古屋に帰れない。雨のマークがまた先に移動している。庭の花はどうなるのだろう? 雨よ、お願いだから、早く降ってくれ!
半分泣きそうな気分で、課長に聞いた。
「このままですと、今日も泊りですよね」
「ああ、けど、心配するな。下着をまたコンビニで買って、レシートをとっておけ。ちゃんと経費から出してやるから」
あのー、心配しているのはそんなことではないんですけど、と思わず喉まで出かかったが、もちろん、そんなことは言えやしない。
七時までがんばって、ギブアップ。続きは明日、ということになった。
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