6.私に出来ること

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震えながら泣いている私を見た大橋さんは、今日のスケジュールは中止の方が良いと判断したらしい。 しかしその言葉を聞いた私は、首を横に振った。急遽決まったとは言え、大橋さんと出掛けるのを楽しみにしていたのだ。カフェだって、そこまで行くルートだって、一緒に楽しみたくて一生懸命考えたのだ。 それなのに、あんな人達の行いのせいで、全部ダメにされたくはなかった。 「…無理しなくていいんだぞ?仕事じゃないんだし、榎原が辛かったらまた今度でも…」 私は再び、首を横に振った。 気遣いは嬉しい。でもそれ以上に、一緒の時間を楽しみたかった。 「いや、です…」 絞り出すように私は口を開いた。 「え?」 「楽しみにしていたから、嫌です…」 驚く大橋さんに、私は自分の気持ちを言った。 「榎原…」 そんな私に大橋さんは小さく溜息をつくと、私の頭にポンポンと触れた。 「本当に大丈夫か?無理していないか?」 念を押すように、大橋さんが聞いてきた。私はそれに頷いた。 「…分かった。だけど、途中でも無理そうだったら、すぐに帰ろう。そのときはちゃんと家まで送るから安心してな?」 大橋さんは私の希望を叶えつつ、いざという時のことまで考えてくれていた。それがとても嬉しくて、思わず抱きついてしまいそうになるのを必死で堪えた。 「ありがとう、ございます…すみません…」 何とかお礼を伝えると、大橋さんは笑いながら「大丈夫だよ」と言った。そして、 「むしろ、俺もちょっと謝らないと…」 と、大橋さんは急に気まずそうな顔になった。 大橋さんが私に謝らなきゃいけないことなんてあったっけ?
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