6.私に出来ること

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なかなか上手く行かないな…と思っていると、大橋さんがクスクスと笑い出した。 「ありがとな。なんかかえって気を遣わせて悪かった」 別に気を遣ったわけではないのに。 私が後輩だから、そう思われてしまうのかな…。 そう思うと何だか急に寂しくなる。 こんなに近くにいるのに、それに一緒に残業したり、大橋さんのプライベートな部分に触れて、少しは近付いたと思えたのに、まだまだこの人との距離は遠い。 「…そんなことないです」 仕方がない…大橋さんはそもそも恋愛はこりごりだ、と言っていて、する気が無いのだから。 そう言い聞かせながら、どこか寂しい気持ちを隠し、精一杯の笑顔を作って、私は答えた。 「…じゃあそろそろ行こうか?最初はパンの美味しいお店だっけ?」 大橋さんの言葉に、私はハッとしながら頷いた。 …そうだ、今日は大橋さんを楽しませたい。 一緒に過ごして、楽しいと思ってもらいたい…。 「はい!オリジナルのパンを使ったパニーニがとても美味しいみたいなんです!クリームソーダも種類がたくさんあるみたいですよ」 私はあえてはしゃいでいるように言った。 「うわ、まじか!それは気になるな…」 「ね?早く行きましょう!」 「そうだな!」 そうして私達は最初のお店へと歩き出した。 *** 「お、これうまいな」 注文したてりやきチキンと卵の入ったパニーニを頬張りながら、大橋さんは言った。そんな大橋さんは、パニーニの2個セットのプレートを注文しており、これの後には、生ハムとモッツァレラチーズのパニーニが控えている。 ここの他にもいくつか回るのに、これだけ食べられるのはさすが男性と言うべきか否か…
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