0.プロローグ

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そう言ったあの人の顔は、とても切なくて悲しかった。 報われない恋愛をしてきてしまった先輩。 どんなに相手を深く想っていても、相手を想い過ぎるが故に、その想いは返されることがなかった。 そんな経験から、もう誰かを好きになることは諦めたのだと言う。 仮に好きになったとしても、想いは伝えない。 きっと返されることはないから。 そしてそれを知る度に自分が情けなくなるから。 先輩は、自嘲するように笑って言っていた。 ねぇ、先輩。 先輩を好きになる人はいます。 いえ、私が先輩を好きです。大好きです。 あなたと一緒にいたいと思っています。 それを伝えたら、先輩はどんな顔をするだろうか… 振り向いてくれるんだろうか? ただの後輩から、1人の女として見てもらえるんだろうか…? 先輩が、もうあんな顔をしなくていいように、私がずっと隣にいたい。 私の願いはただ1つだった…。
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