13.深愛

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すると、健さんが私の顎をくいっと引き上げると、そっと唇を重ねた。しばらくして離れた時に見た健さんの表情は、安堵と喜びとか混ざったような状態だった。 「良かった…」 抱き締められながら、耳元でそう囁かれる。 どうやら安心してもらえたようで、私もホッと胸を撫で下ろした。 すると不意に再び耳元で、 「…すごく可愛かった」 と、色気を含んだ声色で囁かれ、身体が思わずビクンと反応してしまった。 そう言えば、まだ何も着ていないのだ。恐らくそのせいもあるのだろう。触れ合っている体温は心地良いけれど、敏感に反応してしまうのは困り物だ。 「あっ…たける、さん…その、服を…」 私は服を着ることを提案しようとしたけれど、健さんは、なぜか「ん?」ととぼける振りをした。 「健さん…風邪、引いちゃいます…」 「風邪引いたら、奈々がまたスポドリとか持ってきてくれて、今度は付きっきりで看病してくれるだろ?」 ニヤリと笑いながら、まさかの発言をする健さんに、私は驚いて言葉が出なくなってしまった。 「せ…仙台にいる間は出来ませんよ…」 私が慌ててそう返すと、健さんは笑いながら、 「奈々が帰ってくるまで風邪は引かないよ」 と言った。 「…私が帰って来ても風邪引かないでください…健さん、ただでさえ忙しいのに、体調を崩さないか心配しているんですから…」 思わずそうツッコミを入れてみたけれど、どういうわけか健さんは嬉しそうにしていた。 「…なんでそんなに嬉しそうにしているんですか?」 こちらは心配しているのに、全く届いていないように思えて、少しムッとしながら私は言った。
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