13.深愛

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私が泣いていると、健さんはそっと頭を撫でてくれた。 「…ちゃんと帰って来るの待ってるから。だから、これは先輩として…精一杯頑張って来いよ」 健さんはそう応援してくれた。 でも… “…?” 「………彼氏として、は…?」 ふと疑問に思ってしまい、思わず私はしゃくり上げつつも聞いてしまった。 「そこ、聞くか…?」 健さんは苦笑しながら言った。 「…1日も早く帰ってきて欲しいに決まってるだろ。俺、こう見えても結構寂しがり屋なんだからな!」 ………。 それを聞いて涙が引っ込んでしまい、プッと吹き出してしまった。 「こら、笑うことないだろ?!」 健さんが私の額を人差し指で軽く小突いた。 「す、すみません…だって寂しがり屋って…ちょっと意外で…」 健さんは私よりも7歳上だ。すごく大人に見えるし、周りにも気を使えて、仕事も出来る人なイメージが強いため、とてもそんな風には見えなかった。 「そりゃ格好悪いから、普段はそんな所見せないようにしているしな。だけど、お前の前でくらい正直にならなくてどうするんだよ…」 つまり、私の前でだけ…。 私だけが、健さんのそういう所を知っている、ということなのだろうか。 …元カノの…沙絵さんの前とかでは見せたことなかったんだろうか…。 何でこういうときに元カノさんの存在がよぎってしまうんだろう…。私は少し落ち込みつつ項垂れた。 「…奈々の考えていること、手に取るように分かるぞ?言っておくけれどな、こんな所、奈々しか見せたことはないからな?本当だぞ!」 健さんは少しムキになりながらそう言った。
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