14.安堵と衝動ー健side―

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………久保さんにまで気付かれていたとは…。 榎原と初めて食事に行ったときに、久保さんからは色々お店を教えてもらっていた。その後一度だけ、「付き合ってるの?」と聞かれたけれど、そのときは否定したから、それ以降は特に何も聞かれてはいなかった。 久保さん、俺の隣だし、このあと席に戻りにくいな… 「まぁそれはそれとしてね、前にも言ったでしょう?後悔しないようにねって。あんたいつまでヘタれてんのよ…」 ………これは説教、だよな…。 しかも仕事のことではないことを会社で。 だけど、俺はそれに関しては言い返せなかった。なぜならば、全くその通りで、否定する要素がなかったからだ。 ただ、それでも今回ばかりは何とかしたいと思っている。そう思うようになったのは、きっと、俺が榎原への想いを自覚したからなんだと思う。 「一応…今回、榎原に時間をもらって、ちゃんと話をするつもりです…」 少し間を空けて、俺がそう言うと、 「え?もう連絡したの?あんたにしては珍しい…」 と、晴美さんは意外そうな顔をしていた。 「いや…連絡はこれからで…」 この時点でまだ俺は、榎原に何も連絡をしていない。 すると今度は、晴美さんは呆れ顔になっていた。 「あんたって子は…」 溜息を吐きながら頭を抱えている先輩。 傍から見ればかなりのお節介なのだが、そのお節介のおかげで俺だけではなく、同期の殿塚も仕事やプライベートで何度も救われているので、邪険には出来ない。 「まぁいいわ。なるべく早いうちに連絡しなさいな。あんたが連絡するなら、私はしないでおくから」
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