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さらにはシステム部の牧野 誠一郎が頷いた。
男性陣は研修中、白石さんにそれぞれ言い寄られていたけれど、初対面時からそんな調子で、3人が3人共、引いており、相手にしなかった。特に小森くんと牧野くんは学生時代から付き合っている彼女がいる。そのせいかは分からないけれど、白石さんのアプローチは傍目から見ていてもひどかったように思う。
「あいつさ、男はみんな自分に振り向くってどこか勘違いしてるよな…」
そう冷静に言ったのは、加賀美くんだった。
すると男性陣はうんうん、と同じように頷いた。
「でも…どうなっちゃうのかな、殿塚さん…。まさか辞めちゃうのかな…」
陽華が心配そうに呟いた。
「え、それは困るよ!私の教育係は美織さんだし、それに美織さん…とても素敵な先輩だもん」
きっと美織さんが教育係でなかったら、あんな風に部署の人達と打ち解けられなかったかもしれない。もちろんまだまだ緊張するけれど、最初の頃よりずっとマシだ。仕事もまだ本格的なものまでは任されていないけれど、すごく楽しいと思えているのは、美織さんのおかげだと思う。
「それに、美織さんが不正なんて有り得ないよ!きっと何かの間違いだと思う…そんなことするような人じゃないよ…」
同期の皆に言っても仕方がないのかもしれないけれど、私は必死に美織さんは違う、と言った。
「奈々?大丈夫、私達は分かってるから」
陽華がにこりと笑って言った。
「早く誤解が解けるといいな」
続いて小森くんが言った。
何だか、私が慰めてもらってしまっているようで申し訳ない気持ちになる。
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