見知らぬ再会

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 半年前のあの日。 駅の隅の柱の陰に立っていたら紘子の声が聞こえてそっちを見たが、静香にはすぐに紘子を見つけられなかった。声の似ている他人かと最初は思ったし、今日紘子と正式に再会する瞬間まで確信が持てなかった。 「会っても分からないと思ってた…わたしその時90キロだったから!」 紘子の唐突な告白にぽかんとする美々を横目に、静香はこれまでを振り返り頭の中で冷静に計算する。 高校時代の紘子は50キロ。今はそれより10キロ増えている。ということは60キロ。一ヶ月5キロ落とすペースなら半年で30キロの減量。謎は全て解けた。 10キロ増えての60キロではなく 30キロ減っての60キロなのだと 「わたしが駅で見たあとからダイエット始めたの?」 「ずっと痩せようといろいろやってたんだけどね、4年間何やっても駄目で、自分に合う方法と出会ったのがちょうど半年前なの。そうだね、去年の秋の連休の最終日からだった。本当は完全に元に戻ってから二人に連絡しようと思ってたんだけど」 言いながら紘子の目にはうっすらと涙が浮かんでいるようだった。 「えっ?なに?あたしらと会えなかったのってそれが理由だったの?」美々が拍子抜けしたように言った。それもそうだろう、もしかしたらもう会えないかもしれないとずっと思ってきたのだから。 「じゃこれからは前みたいにまた遊べるんだよね?」 「でもまだ甘いものも間食も禁止だし、夜7時以降は絶対に何も食べないし、日曜日は断食なの。みんなと同じようには遊べない」 そんなことを半年もしていたのかと少し引いたが、断食以外は普通か。 「だったらジムとか行こっかみんなで!」 美々が提案するが紘子は顔を曇らせ「運動しても体重減らなかったしむしろ増えたの…筋肉つきやすいのかな」 「一緒にいて食べたくないときがあったら別にそう言ってくれればいいし。遠慮なんてしないでよ、友達なんだから」 まだ怒っているような顔をしながら静香が言った言葉に美々が一番感動した。 「そうだよ!ていうかあたしも5キロは落としたいからヒロに付き合うわ!」 紘子は目に溜まった涙を落ちる前に拭いながら 「ありがとう。これからはまたよろしくね」 「これからも。だよ」 パフェはまだまだ来ない。
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