雨乞い

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 そんなことをわかっていなかったのが私だったことに気付いたのは、儀式としての雨乞いが終わってしばらく後、私の命が対価となったときだった。  父も兄も妹も、みんな笑っていた。悲しそうな、これを予想していなかった顔をしていたのは母だけだった。三人とも知っていたんだ、知っていてそれでちょうどいいとやらせたんだ。  ああ、みんな私のことが邪魔で、だから全てここで片付けようとしただけだった。私はそんなことにも気付いていなかった。  ただ私は託されたことをやっていたはずなのに。どうしてだめだったんだろう。答えは出ないまま私は思考できなくなった。
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