雨降る午後二時、小さなカフェで

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あっという間に二月(ふたつき)が過ぎ、3件のリフォームも無事に終わった。丁度、最終日が雨降りだったからカフェに顔を出した。 これまでの御礼の気持ちに何かプレゼントをと思っていたから彼が勤める会社が携わっている植物由来のハンドクリームを贈った。 「水仕事が多いとだろうと思って」 私がそう言うと彼女はまた驚いた顔を向け目を潤ませた。 「えっ!?どうしました?身体に合わない成分でも入っていますか?」 事前にアレルギー等聞いておけばよかった。 少し慌てる私の手を取り、彼女はフルフルと首を横に振った。 「いいえ、大丈夫です。嬉しくて・・・私、独り残されたから・・・・」 どう言う意味だろうと首を傾げると彼女は店内を見渡した。 「皆さん、旅立たれたの。私、独り残ってしまって・・・・また、会いに来て下さる?」 意味がよく理解できないまま私は大きく頷いていた。
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