第一章 令嬢秘書の正体

10/26
前へ
/282ページ
次へ
あれも健太の代からのだから、そろそろ新しいのを買ってあげたいな。 最近は起きている美妃をひとりにしておくとなにかと危ないので、おんぶ紐で背負って昼食を作る。 「オムライスでいいー?」 「うん! さやねぇちゃんのオムライス、だーいすき!」 これくらいで喜んでくれるなんて、本当にお手軽で助かる。 アンケートサイトの報酬入ったら、新しいおもちゃを買ってやろう。 冷蔵庫で材料を集め、切っていたらドアがノックされた。 今、忙しいのに……と心の中で文句を言いつつ、玄関へと向かう。 「はい」 ドアを開けたところで固まった。 相手も当然ながら固まっている。 ……どうして、御子神社長がここに? 互いに状況が掴めないまま硬直した時間が過ぎていく。 それを壊したのは、御子神社長だった。 「……子持ち、だったのか?」 いつも言われる、私にとっては地雷の台詞につい、プチッとキレた。 「誰が子持ちよー!」 私の右手が社長の頬にクリーンヒットし、バッチーン!と痛そうな音が辺りに響き渡る。 「……いてぇな」
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

685人が本棚に入れています
本棚に追加