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先程からまるで恋人同士のような感じだが、私たちは断じてそんな関係ではない。
あくまでも社長と秘書、なのだ。
それ以上の感情なんてまったく、ない。
きっと私と同じく御子神社長も、周囲の期待に応えてそういうふうに振る舞うのが楽しいだけなんだと思う。
「おい、大丈夫か?」
「あ、……すみません」
いつもと同じくらいしか飲んでいないはずなのに、店を出る頃には足下がふらついていた。
寝不足に日本酒がまずかったのかもしれない。
「送っていく」
「……いえ、ご心配はご無用ですので……。
タクシーに乗せてもらえれば……ひとりで帰れます……から……」
とか言いつつも、頭がふわふわして意識が飛びそうになる。
「そんな状態なのにひとりでタクシーとか乗せられるわけないだろ。
送るから……って、おい!」
ふらりとよろけた私を御子神社長が支えてくれる。
ぽすっと額が彼の胸につき、セクシーだけれどどこか甘い香りに包まれた。
そこで記憶が途絶えている。
目が覚めたら知らない部屋だった。
しかも私は下着姿で、隣には御子神社長が眠っている。
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