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……これはヤってしまったってヤツですか?
しかし、いくら考えても記憶がまったくない。
あれって、……わからないものなんだろうか。
けれど、経験のない私がいくら考えようと、わかるわけがないのだ。
悩むだけ無駄なのでそろりとベッドを出て、服を探す。
それはきちんとハンガーに通し、近くの扉にかけてあった。
そういうのはやはり、育ちなんだろうか。
手早く着替え、社長を起こさないように部屋を出た。
リビングは何度か来た見覚えのある場所で、やはりここは御子神社長のマンションらしい。
ソファーの上に置いてあったバッグを掴み、部屋を出る。
あとのことは今考えない。
今日明日は休日だし、二日休みを挟めば忘れてくれる……とかはないか。
駅から十五分歩いて古い二階建てアパートが見えてくる。
その一階の角部屋が私の住んでいる部屋だ。
――そう。
会社ではご令嬢などと噂されている私だが、実は〝超〟がつく貧乏。
会社でのあれは周囲の期待に応えて、そう演じているだけなのだ。
「えっ、あっ、あれ?
鍵が、ない」
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