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この春に高校生になったばかりの弟に気を遣わせてしまい、返す言葉がない。
給料は最低限の生活費を残し、あとは実家の生活費と健太たちの将来への貯蓄へ回していた。
「……いいから、もらって。
健太だってたまには、友達とハンバーガー食べたりしたいでしょ?」
それでも無理矢理、健太にお金を握らせる。
実家が貧乏なのは父のせいだ。
父の特技は行方不明になることで、ほとんど家に帰ってこない。
当然、お金だって滅多に入れてくれなかった。
それは私の母の生前からそうで、なのに真由さんとの結婚を阻止できなかった自分を、ずっと責めていた。
「清ねぇ……。
わかった、もらっとく」
お金を受け取り、健太が笑ってくれてほっとした。
健太が出ていき、美妃の様子を見てから手早くシャワーを浴びた。
私には母違いの五人の弟妹がいる。
一番上がさっきの健太、高校生になったばかり。
その下が巧で同じく高校一年生。
同じ学年といっても双子ではなく、健太が四月生まれで巧が三月生まれだから。
その下で真ん中が小学五年の真。
さらにその下の望は五歳で、唯一の妹である美妃はまだ生後五ヶ月だ。
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